権田猛資の台湾ノート

台湾生活の中で見たこと、学んだこと、考えたことを記録していきます。

2019年バシー海峡戦没者慰霊祭のご案内

f:id:taiwan_gontake:20191002221836j:plain

台湾最南端とフィリピン最北端の間に横たわるバシー海峡は、先の大戦で悲劇の現場となりました。

特に日本の戦局が厳しくなった1944(昭和19)年以降、日本軍大本営はあらゆる兵員や資源をフィリピンに集中させ、劣勢を挽回すべく比島決戦を企図します。

 

しかし、南方方面に向かうためにはバシー海峡を通過する必要があり、敵国米軍はそこに多数の潜水艦を配置するいわゆる「群狼作戦」を展開しました。

その結果、バシー海峡を航行中の日本の輸送船は米軍の潜水艦による魚雷攻撃によって次から次へと撃沈されます。その数は5000級以上の艦艇では200隻以上(重松正一さん調べ)とされ、それ以外に商船や漁船も海の藻屑となりました。

 

日本政府は地域別戦没者数として台湾は約4万1900名、フィリピンが約51万8000名としています。バシー海峡海域に限定した犠牲者数は明らかにしていないものの、少なくとも10万名以上、最大で26万名が犠牲になったという推計もあります。

 

ちなみに、日本人に広く知られている広島の原爆が約14万名、長崎の原爆が約7万4000名、沖縄戦は18万8000名が犠牲になりました。これらは多くの市民も犠牲になった悲劇です。

 

単純な比較はできませんが、バシー海峡の犠牲者数もこれらに匹敵する多さであり、もっと多くの日本人に知られるべき悲劇であると思います。

 

台湾南端の猫鼻頭岬に立つ潮音寺は、バシー海峡戦没者を慰霊する目的で建立されました。

f:id:taiwan_gontake:20191002222439p:plain

2階建ての白亜のお堂「潮音寺」はバシー海峡戦没者を祀る

f:id:taiwan_gontake:20191002222618j:plain

2階に上がると正面にバシー海峡が広がる

建立者はバシー海峡で撃沈された玉津丸に乗船し、12日間の漂流の末、奇跡的に生還を果たした故・中嶋秀次さんです。

 

f:id:taiwan_gontake:20191002222805p:plain

潮音寺建立者の中嶋秀次さん(鍾佐榮・潮音寺管理委員会委員長提供)

戦後、中嶋さんは「死んでいった仲間たちの鎮魂のために、何かできないか」(門田隆将氏『慟哭の海峡』角川書店)との思いを抱き続けました。

 

その中嶋さんの「仲間を慰霊したい」との思いに共鳴した多くの台湾人の協力の下、1981年に潮音寺は竣工しました。

 

この潮音寺で2015年、日本人有志の実行委員会が主催する第一回バシー海峡戦没者慰霊祭が斎行され、以来、毎年11月に慰霊祭が行なわれています。

f:id:taiwan_gontake:20191002223013j:plain

2015年の第一回慰霊祭にはご遺族を中心に約180名が集った

f:id:taiwan_gontake:20191002223147j:plain

ご遺児でもある吉田宗利ご住職による読経

f:id:taiwan_gontake:20191002223441j:plain

バシー海峡に向けて献花する参列者(2018年慰霊祭)


今年は11月17日(日)の斎行です。

ぜひ多くの方にご参列いただき、バシー海峡に眠る御霊に哀悼の誠を捧げることができればと思います。

 

【2019年バシー海峡戦没者慰霊祭概要】

■主催単位・共催団体・後援団体

主催単位 バシー海峡戦没者慰霊祭実行委員会

共催団体 潮音寺管理委員会、一般財団法人台湾協会

後援     公益財団法人日本台湾交流協会、台湾日本人会、台北市日本工商会ほか

 

■スケジュール概要

・前日懇親会

日時:令和元年11月16日(土)19時~21時

場所:高雄国賓大飯店

・第一部 バシー海峡戦没者慰霊祭

日時:令和元年11月17日(日)8時~17時半(高雄国賓飯店出発、17時30分帰着予定) 

①潮音寺にて慰霊祭     

②鵝鑾鼻岬にある台湾最南端の地にてバシー海峡を望む    

③鵝鑾鼻の海岸で献花   

・第二部 バシー海峡戦没者を偲ぶ夕べ

日時: 令和元年11月17日(日)18時30分~20時30分

場所:高雄国賓大飯店

 

■お問い合わせ・お申し込み

E-Mail:info@bashi-channel.com (事務局長 権田猛資)

HP:http://bashi-channel.com(お申し込みはホームページの申込みフォームよりお願いします)

 

【関連文章】

バシー海峡戦没者を祀る潮音寺と慰霊祭(2019年4月2日、hibiki Culture Lab)

 

Youtube

www.youtube.com